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2008.11.01

消えた娘(クレイ・レイノルズ)

まだまだ忙しく、すっかり寝不足が過ぎて、スリーピングハ〜イッ。
そんな中ライブにも行ったので書かないといけないけど。
その前にこれを書かずには居れまへん。

081031

消えた娘 (新潮文庫)
クレイ レイノルズ (著), 土屋 政雄 (翻訳)
THE VIGIL / CLAY REYNOLDS (1986)

この本、超感動しました。名作です。凄いです。
(1回読んだだけで、見直しもせず一気に書くので、一部誤認があるかもしれません…)

大金持ちだが家を顧みず愛のない夫に愛想を尽かした妻イモジンは、18歳の娘コーラを連れ家を出る事を決意する。
車を上手く自分名義に変え、上手く理由をつけ、たった2500ドルほど夫からくすねたイモジンは得意げ。
そして、ブロンドの超美人の娘には、私が私がと世話を焼く典型的な共依存状態。

何千キロか離れた姉の家に向かう途中の町アガタイトで車が故障する。
役所前のベンチで修理を待つ二人。
コーラが5セントを持って、むかえのドラッグストアにアイスクリームを買いに行く。
そして、コーラはそのまま戻ってこない。待てども、待てども。
ドラッグストアを睨みつけながら、そのままベンチで待つ事30年!
そして、今もベンチに座っている…

30年。いろんな事がありました。多くの周りの人も死に、町も変わってしまいました。
でも、イモジンはそのまま。まるでタイムマシーンに乗っているように時が移ろって行きます。

凄い!

この話しは本当に面白いな、と思い、のめり込んだ場面、描写。
中盤頃、町に夜中に到着する貨物列車の音が遠くから聞こえてきます。
ふと、イモジンは思い込みました。
ああ、やっと戻って来てくれるのね、コーラと。

そんな訳も書いてないし、あり得ないのに、なぜか…
なんの理由もなく思い込みます。

化粧をし、服を正し、身支度を整えます。
許してあげるわ、なにも聞かないし、ただ抱きしめて。
と思いながらベンチに座っているイモジン。

到着する音。
荷物を運ぶ音。
人の足音。

立ち上がるイモジン。
さあ、
さあ、
さあ、
いよいよこっちに向かってくるわ、と。

そして、落胆。

この場面の迫力の文章に圧倒されました。
あきらかに幻想で勝手な思いなのに、こっちまで、まさか、本当に?
どきどきし、本当に?、こっちまで落胆させられました。

もう一人の主人公。
アガタイト只一人の保安官、エズラ。
いろいろイモジンのことを気に掛け、世話を焼きます。
エズラは妻に先立たれ、子供は…、独り身です。
やがてエズラは、同情心が、否、そんなことではなくイモジンを愛するようになります。
でもイモジンにとってはそんな事はどうでもよく、嫌悪感ばかり。

エズラの夢のシーン、回想シーンも凄い迫力で、読み応え抜群。
暗い過去が暴露されます。
エズラはイモジンを愛する証に、引退前に一つの事を実行します。
それは結局、イモジンに知られる事はなかったのですが、凄い事です。
とんでもなく。感動しました。

30年。
ハローウインで子供達にいたずらされ、生卵まみれになったり。
マスコミがアメリカ中から来て話題になったり。
宗教関係者がきたり。
もちろんお金もつきます。
暫くは教会の施しを受けたりします。
でもやがてみんなから忘れられ、口もきく人もいません。
どんなときでもイモジンは毅然たる態度。
きりっと、ベンチに座り、前方のドラッグストアを睨み続けています。

パートで皿洗いをするようになりますが、アパートも借りているんですが、やはりほとんどの時間はベンチで。
ほどなく病気になり入院。そこで莫大な借金。アパートの大家は泣く泣くイモジンを追い出します。
季節は冬に向かっています。一息つけるのは皿洗いの時の温もりだけ。
ガタガタ震え朦朧となりながら、イモジンは呟きます。
今夜は、もう、こせそうに無いわ…

イモジンは誰にも助けを求めず、情けも求めません。
でも、ほんのちょっと自分を必要としてくれる人。
必要とされる人。それもほんのささやかな事。
同情心とかはまったくなくて必要とされること。
それを求めていた。

最後の最後にそんな奇跡が起きました。
奇跡と言ってもほんのささやかな事。

なんとか食べて行けるだけですが、生活出来るようになって行きました。

そして、エンディング。
仕事場に行く途中、通りを隔てた広場を、彼女のベンチを見つめながら…
「いい人生だった」
と思う。
んですよ!

そして、ふと呟かれる。
「ありがとうよ、コーラ」
と。

つまりですよ。
物欲にまみれた生活を送っていて、夫には冷たくされ、共依存の娘は消えてしまい、なにもかも無くしてしまった。
70歳手前になるイモジンはすべてから解放され、今から人生の居場所を生き甲斐を見いだした。
今まさに癒される時がきたんですよ。(と、たぶんそうだろう!)

そして、この瞬間、私は、初めてイモジンの顔を直視出来ました…
良い表情をしていました…

そして、また明日からもイモジンは、彼女のベンチに座る。
だってこれが彼女のアイテンティティだもの!

めっちゃ、面白かった。
感動した〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

P.S.
娘のコーラがどうなったか知りたかったら本を読んで下さい。
名作です。

ちぃ、時間かかった、仕事、仕事。
寝不足、快感〜〜〜

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