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2008.09.27

キャプテン(セイモア・シュービン)

080927

キャプテン (創元ノヴェルズ)
セイモア シュービン (著), 押田 由起 (翻訳) 1982

キャプテン(ニックネーム)は、かつて特捜隊の名警部として名をはせ、いまは高級ナーシング・ホーム(特別擁護老人ホームの様なもの)で暮らす身となった76歳の老人。
キャプテンは3人の子供の家をたらいまわしにされたあげくに、自らの意思に反してナーシング・ホームに入れられてしまいます。彼はホームの生活になじめず、老人達をやっかいな物体とみなし、機械的に処理していく病院のスタッフに憤る。そして、老人をないがしろにする世の傾向にしたいに怒りをつのらせていき、それが異常なまでに昂じて、とうとう恐ろしい行動に走ることになります。

殺戮者となるキャプテン。ピストルを隠し持ち、車を盗み、町を走ります。でも老いは辛いもの。相手の名前を忘れたり、ピストルの隠し場所を忘れたり、過去と現在の記憶の見境なつかなくなったり…
書きようによったら面白おかしく書けるような場面でも、作者はけっして文章をくだけさせることなく、真っ向から老人の心情を書き綴ります。

かつての面影がなくなったキャプテンは殺人者でありますが、現実の高齢者社会に追いつけない制度や、老人をないがしろにする人々の被害者、である老人の代表者でもあります。

やがてエンディングを迎えますが、良い終幕だったと思います。もちろん犯罪者は救われることはないのですが。

作者の真摯な文章と、読者への問題定義のしかたといい、名作です。

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