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2008.09.22

ヒルダよ眠れ(アンドリュウ・ガーヴ )

080922

ヒルダよ眠れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 64-1)
アンドリュウ・ガーヴ (著), 福島 正実 (翻訳) 1950

これがまた凄い話でした。

夫が自宅に帰ってみると、妻ヒルダがオーブンに頭を突っ込み、部屋にガスを充満させて自殺していた。
警察を呼び、調べていくと他殺の疑いがあり、夫が逮捕される。状況証拠だけだが確実に裁判では有罪になりそうな気配。

そこへ夫の戦友の友人が偶然帰国し、彼の無実を信じ、真犯人を探す調査を始める。

そして、妻ヒルダの独身時代からの交友関係等を洗っていくと、彼女の赤裸々な姿が浮かび上がってくる。

ここからが凄い。
彼女は、厳粛な家庭環境の中で母親との共依存関係の中に育ち、それが高じてとても歪んだ性格異常者になっていた。
そして、子どもにも共依存関係を強いて、一人っ子の娘は精神病院に入っている。

でも、この作品が書かれた時代はまだ共依存とか、ましてやACの影響等の考えがまだなかった様です。

そして、後半(いや大半)はいろんな人が語るヒルダの異常性格について延々と語られる。

で、その内容を書こうと思っても中々書けないです。
ほんのちょっとしたいたずらのようなもの。
ほんのちょっとした意地悪。
もちろん法に触れるような事はしない。
とても些細な、それでいて相手が一番嫌なポイントを付いて、つけ込むのが天才的。
精神的に揺さぶりを掛け、相手をとことん追いつめ自分の思い通りにする。
ヒルダ自身は、他に趣味も楽しみも関心事もなく、ただ人を追いつめる。
弟にも身内にも知人にも関わる事を恐れられている。
とにかく内容は凄いんですけど、ほんのちょっとした事の積み重ねだから、読んでもらうしかありません。

そして、犯人であるヒルダと関わりのある人物は、一生彼女の毒牙から逃れられない事を悟り、衝動的に殺してしまう。
読者もヒルダの描写に、性格(最初はたいした事ないな、とか思っていたのに)にだんだんと追いつめられ、この犯人と一心同体に…

現実にも、ヒルダに似通った性格の人がいそうです。
とても、とても怖い話でした…

No Tears For Hilda

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