木立の中の音楽室
音楽室、と云う言葉がとても好きです。
通っていた中学校の風景です。
右手に2つの池を見ながら歩いていきます。2つの目の池を半周ほど回るとそこに正門があります。
古びたコンクリートの柱と錆びた門扉。生い茂る草。
…
正門の風景。
お昼前に行くと、母親がホカホカのお弁当を持って立っています。
なんせ夜の仕事をしていましたから、早朝は起きれなかったんです。
小学生から知っていた女の子がある日、尋ねます。
なんで姓が変わったん?
「…」
…
門を過ぎても木々が茂っています。桜やクヌギ。時々カブトムシなんかも見つけられます。
もっと早朝に行くと、クワガタムシなんかも。
右手の少し小高いところには、古風な屋根のついた土俵が。
左手には池もあります。ザリガニがいて、オタマジャクシの大群やメダカ。
緑色のコケや水草が水面にびっしり。雨になると食用蛙の大合唱。
もう少し歩くと右手には真新しい体育館。正面には校舎。鉄筋コンクリートの4階建てや瓦屋根の木造2階建てまで。
入学当初は、その木造2階建ての2階の1年16組でした。木板の階段には穴が開いているし。木の廊下も、当初はなかったのに、いつの間にか穴が。ミシミシと今にも割れてもっと穴が開きそう。扉や窓枠も木製。歪んで、軋んで全開しないし。
そうそう、話を戻して、左手の池の向こうの小高いところに木々に囲まれた木造平屋建ての建物が見えてきます。
それは、古びた洋館風のものでした。そう、それが
「木立の中の音楽室」
です。
確か屋根だったか、壁だったか、土台だったかにエンジ色が使われていました。
入ると音楽室と準備室だけの小さなもの。ニスで真っ黒になった床。木の小さな椅子と、下敷きを敷かないと文字が全く書けないようなボコボコの机。壁の高いところには、バロックから近現代までの作曲家の肖像画が。大きな木枠の窓。
木々が茂っているのでそんなに明るくはなくて。柔らかなぼんやりとした光と、一筋、二筋とわずかに入る光線。ぼんやりと光の筋を見つめていると、舞い散るチリやホコリ。音楽に合わせてフーと拡散したり、収斂したり。
音と光と、そして匂い。
充満したニスと木とペンキの匂い。
窓を開けると漂ってくる草木の匂い、花の、樹木の蜜の匂い。池の匂い。昆虫の匂い。
…
そんな環境での音楽の授業は好きでした。
理解のある良い先生でしたし。
クラシックからポップスまでいろいろ聴かせてくれました。
リコーダー用のソロ曲やアンサンブル曲を作曲するのも楽しかったです。
私が作るのはAマイナーの暗い曲ばかり。
いやいや、リコーダーのキーは確か、FだったからDマイナーの曲ばかり!
筆記でも100点とかよく取っていました。得意科目でした。
でも、内気で、人前で歌うという大胆なことはとても出来ませんでしたね。
だから通信簿はもう一つ。
そんな良い雰囲気の
「木立の中の音楽室」
でした。
時は移り、中学3年生になった頃。
木立の中の音楽室も木造校舎も全部取り壊されてしまいました。
更地になったり、鉄筋コンクリートの新しい校舎が造られたり。
とても残念でしたね。
でも、最新鋭の音楽室が出来ました。グランドピアノと大きなオーディオ装置。
そのときの担任が、音楽の先生。
彼が言います。
さぁ〜真新しい音楽室のオーディオ装置で試聴会しましょう!
それぞれ聴きたいレコードを持ってきてね!
確か、私が持っていったのは「Tubular Bells」。
いろいろ聴けて楽しかったですね。
そして、グランドピアノの出番です。
弾くのは、ピアノの得意な佐々木さん。
彼女は学級委員長で、成績もいつもトップランク、可愛いし、家は金持ちだし。
ソロピアノを聴いたり、ビートルズやカーペンターズを合唱したり。
(私は恥ずかしそうに小声で合唱…)
そりゃもう楽しかったですね。
取りあえず、佐々木さんとカーペンターズのファンクラブに入りました!
それと、この担任の先生。
すごい有名人なんです。
あるときはNHKの教育番組に、あるときは「世界びっくりショー」か、なんかそんな類いの番組に。
人参や大根をくり抜いて穴をあけて笛に。あるときはホースを使い、笛に。あれやこれやを笛に。
ちょー有名人。
今現在では、正門から校舎までの池や木立は、大きな道になってしまい全部なくなってしまいました。
まったく面影がなくなった中学校になってしまいました。
あ〜あれは、夢、幻…
(真面目に始めたのにちょっと脱線…)
P.S.
いや、こんなこと書くんじゃなくて、2本のライブレポートや、新しく出会った素晴らしいアルバムのことを…



Eddi Reader / Eddi Reader (1992)
主張がないようで芯が通っていて、出しゃばることなく存在感があり、独特の浮遊感。
Charlotte Gainsbourg / 5:55 (2006)
彼女、益々格好良いし、アルバムもとても良いです。
いろいろ誤解をされそうだけど、そんなことどうでも良いです。
パワープロダクション

Recent Comments